2007-06-08

西尾維新/刀語 第一話 絶刀・鉋

刀語 第一話 絶刀・鉋
西尾 維新

講談社

2007-01-10

単行本

西尾維新が時代劇! とは言っても、中身はサムライスピリッツのような人外バトルもの。1ヶ月に1作刊行され、全12巻になる予定だとか。

でも、どうかなあ、バトルもの。細かい描写が適当な西尾維新には、あまり向いていないような気もする。文体は、時代劇というのを意識したのか、司馬遼太郎っぽい作者介入系の文体が混ざっている。これも、西尾維新にハマりすぎて、あまり面白くない。いつもの駄洒落とトートロジーな言い回しも健在。

強いて良いところを挙げると、戯言シリーズでは、「世界の終わり」とか言われても、何も具体性がないので、ハッタリで終わるんだろうなって最初から予想できたわけだけど、こちらははっきりファンタジーなので、ストーリーそのもので勝負してくるのだろうな、というところは期待できる。って言っても、西尾維新の小説ってストーリーだけ抽出すると微妙なんだよなあ。

で、本作だが、蒐集する刀のことも粗方語り、ヒロインのとがめの生い立ちも敵が強引に解説し、主役の七花も技を出し惜しみしないし、ひっぱるってことを全然考えてないね。とがめが捕われたところでも「奇策士」というから何か考えがあるかと思いきや、単に捕まっただけだし。やっぱりストーリーを語る気はないのかな。まあ、様子見かなあ。

しかし、225ページで1030円は高すぎるような。12巻集めたら12360円だからなあ。中高生にはちょっと辛いだろう。

なんかネガティブなことばかり書いてしまった。今の西尾維新のファン層を考えると、こういう内容になるんだろうなあ。

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