2007-06-29

泡坂妻夫/しあわせの書

逆転裁判のディレクターの巧舟氏が好きらしいというのと、このブログでも再三取り上げている米澤穂信が本書をおすすめに挙げていたので読んでみた。

とにかく読み終わるとかなり驚くらしいということなのだが、そこまで驚くということは、叙述トリックか(主人公が実は犯人など)か、メタ小説(10文字だけで書かれているとか、行の先頭を繋げて読めるとか)なのかなと予想して読み始めた。すると、冒頭いきなり作中作「しあわせの書」についての解説がある。文庫本で1ページ41文字15行というのは、本作『しあわせの書』の体裁でもある。完全にメタ小説のパターンだ。作中作の「しあわせの書」に関するトリックが本書の『しあわせの書』の方にもあるということなのだろう。而して、この予想は、まあ、当たるわけだが、ここから先はネタバレ回避のために触れないでおこう。

で、トリックを見破れたかというと、無理だった。まあ、そんなに熱心に見破ろうとはしなかったんだけど、これを見落すのはかなり悔しい。驚いたかというと、大胆なトリックに気がつかなかったのと、作者の費した労力と馬鹿馬鹿しさに敬服したというところかな。大枠としては予想の範疇ではあった。

しかし、この小説は確かに凄いんだけど、だから何?感も強いなあ。僕はあまりお勧めしないかな。

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