2007-06-05

支倉凍砂/狼と香辛料II

狼と香辛料〈2〉
支倉 凍砂

メディアワークス

2006-06

文庫

しばらく前に前作を読んだのだが、あの「のだった」多用文体があまり好きじゃないのと、主人公のロレンスとヒロインのホロの関係もいまいち好みじゃなかったので、続編を読むのは敬遠していた。ホロは、数百歳の狼の神様なのだが、老獪な性格という設定で、ロレンスの考えを悉く読んでしまうのだが、ホロの方も萌えキャラの宿命で、他人に考えが簡単に理解できてしまう性格。つまり、お互いがお互いの考えを読めてしまうという関係で二人の会話が続いていくので、僕はちょっと息苦しく感じた。好みで言えば、もうちょっと、何を考えているのか分からないくらいの方が好きなんだね。これがこの作品の醍醐味だと感じている人は多いのだろうけど。

それに前作は経済を題材としつつも、最後はホロが拉致され、それを救出に行くという単純なストーリーになってしまうので、その辺も不満があった。

で、本作なのだが、文体やキャラクターなどは前作を継承している(当たり前だが)が、ストーリーは前作よりもずっと面白くなっていると感じた。物語中盤に、ロレンスは商売に失敗し、多額の負債を抱えてしまう。返済期限が明日と迫る中、起死回生のために禁じられている金の密輸を試みるが、それも金の運搬途中に仲間に裏切られて、絶対絶命のピンチ。そこから、ホロの能力で逆転していくわけだけど、前作よりは起伏があって良いストーリーだと思った。

それに、今回は羊飼いのノーラという娘も出るのだが、これも二人旅の息苦しさを軽減している。トータルとしては、前作よりもかなり面白いと思った。とりあえず図書館にある分は、読んでみようかと思う。

0 件のコメント: