貧乏性でまた読んでしまったが、これを最後にする。やっぱり、この作者の作品は合わないな。特に合わなかった部分は、まず、最初の章、ほとんど図書館と関係ない痴漢退治の話だ。確かに痴漢は酷い行為だが、主人公側が「死ねばいいよ、お前」とか「やったァ、二十六歳ですって。実名報道ばっちりオッケー。(中略)その汚い顔と親のせっかくつけてくれた名前で社会的に死に態さらしてくるがいいわ」と言ってキャッキャッと喜ぶのは、さすがに悪趣味が過ぎるのではないだろうか。これでは、2ちゃんねらーが犯罪行為を書いたブログを荒らすのとなんら変わりがない。前作でも、WEBで本を酷評する人間についても似たように悪く書いていたが、どうもこの作者は自分がパニッシュしたい対象を小説の中に入れて袋叩きにする傾向があるようで、こういうのは好きになれない。
それと、これはこの作品だけでなく、全体的な傾向だが、この作者は自分と異なる思想を持つ登場人物を徹底的に貶めて書くところがある。この作品では「無抵抗者の会」という、主人公たちの戦闘行為を非難する団体が登場するが、この書かれ方も酷い。とにかく自分勝手で、高尚な考えなどなく、敵のいいなりで、これに与した図書館館長は、最後保身のために図書館に放火するという小物ぶりを発揮する。フィクションだから、ある程度は仕方がないが、ここまでやると主人公たちの立場が相対化されないので、読む方が自分で主人公たちの粗探しをやってしまいたくなる。まあ、僕みたいな読者は少数なのかもしれないけど。
と、色々と僕には読むのがしんどい小説だね、これは。作品の思想的な粗を、そういう小手先の描写で補っているような気がしちゃうんだよね。まあ、あまり、文句ばかり言ってもしょうがない。とにかく、この作者の作品を読むのはこれで最後にする。
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