2008-02-19

東アジア選手権 日本×北朝鮮

結果は、1-1で引き分けだった。日本の得点者は、前田。

非常に難しい試合になった。まず、問題はこの大会をとりまく状況だ。W杯予選の合間を縫っての大会、Jリーグ開幕前ということで選手の招集をめぐるクラブチームとの駆け引き、さらには中国、韓国、北朝鮮という反日色が強い相手ということで、ラフプレーでの怪我も心配だ。一部ファンからはこの大会自体が罰ゲームとも言われている。そんな大会である。

という色々な問題の中でも一番話題になったが、選出チームの格差の問題だろう。高原の免除(これは後から岡田監督が否定したが)、坪井の代表引退などで浦和からは鈴木啓太1人の選出。対して、ガンバからは遠藤、播戸、加地、橋本、安田、水本の6人が選出されている。

これで、ガンバはナビスコ王者が出られるパンパシフィックチャンピオンシップに、U-23の寺田を含めた7人抜きの状態で戦わなくてはいけなくなった。この大会ではあのベッカムを擁するLAギャラクシーとの戦いもある。この大会は今年から開催されるのだが、日本代表のガンバが2軍状態というのはなかなか先が思いやられる話だ。なにより、ベッカムが出るのに、遠藤が出ないというのは格好がつかないだろう。まあ、とにかく二川がんばれという感じだな。

浦和から1人しか選出されないことについて、浦和を非難する声があるが、これには僕も同調したい。高原や阿部はともかく、闘莉王や三都主にも打診はあったはずである。開幕前にこんな大会に選手を出したくない気持ちはわかるが、そんなことを各クラブが言い出したらキリがない。代表引退を決めた坪井も、専門ではない阿部が優先されていることや、同タイプの水本の突き上げがあったりと、非常に気持ちはわかるんだけど、わがままと言えばわがまま。最近の浦和の人気は、日本代表を越えるものがあるわけだけど、浦和だけ良ければいいということではないだろう。やっぱりもうちょっと協調関係を築いてほしいものだ。

それで、試合のメンバーだが、川島と田代が代表初キャップ、水本と播戸が久々のスタメン、加地がなんと左サイドになり、中村憲剛が発熱のため外れた。結果的に非常に実験色が強いメンバーになった。対する北朝鮮は、川崎フロンターレでも活躍している鄭大世の1トップに5バックの布陣。守って鄭大世のカウンターにかける気満々である。

そして、その鄭大世に開始早々やられてしまった。前半6分、鄭大世がペナルティエリアでボールを持つと、日本のDFをかわして左足でコースを突いたシュートを決めて、あっさり北朝鮮先制。日本は、憲剛の不在が大きい。オシム時代は俊輔、遠藤、憲剛とパスを出せる選手を三人同時に使っていたが、この試合では遠藤しかいない。しかも、啓太の1ボランチ。序盤、ボールが落ち着かないうちに見事に鄭大世にやられてしまった。去年の後半は川崎で大活躍した鄭大世だが、今年もジュニーニョとフッキに負けじと活躍しそうな感じだ。

その後は、遠藤がボランチに下がったことで、北朝鮮が引いたこともあり、日本が落ち着いてボールを回せるようになったが、状況は膠着してしまう。時折、内田が勝負を仕掛けたりするものの、なかなかシュートまで持っていけない、もしくは、たまにあるチャンスを決められないという感じ。北朝鮮の攻撃は鄭大世が前で張っているだけなのだが、鄭大世がうまく中澤との勝負を避けて、ピッチやアウェーの状況になれないのか、調子の悪い水本ばかりを狙ったこともあり、何度が良いチャンスを作られてしまう。それでも初キャップの川島が落ち着いて対処したこともあり、得点にはならなかった。

後半になると日本が完全にポゼッションを握るようになったのだが、まだ得点には遠い。それで、岡田監督が前田と安田を投入したのだが、その直後にこの二人で得点を決めてしまった。後半の24分、安田が左サイドをドリブルで仕掛けて、クロスを上げ、キーパーが弾いたところを前田が押し込んだという形だ。これは安田を中盤の前で使った岡田監督の機転が効いていた。というより、安田は本来中盤の選手なのだ。圧倒的なポゼッション力があるガンバでならサイドバックもアリだが、代表のサイドバックではちょっと怖い。利き足が右なので、クロスの精度も悪い。ということで、安田は能力は高いがちょっと使いづらい選手なのだが、この試合ではうまくハマったようだ。

その後は日本が優勢に試合を進めたが、結局1-1のまま試合終了になった。

日本が苦戦した原因は加地の左サイドや経験の少ない選手が多かったことなど色々あるのだろうけど、一番の原因は憲剛の不在とそれでも1ボランチにしたフォーメーションの問題だろう。やっぱり1ボランチは遠藤と憲剛の両方が揃わないと無理だ。憲剛がいないなら、前から(遡ればアテネのころから)思っていたけど、今野と啓太の2ボランチを試してほしい。この二人の運動量なら十分守備的ではない戦術になるはずだ。Jリーグ最多得点のガンバだって、守備の強い明神と橋本のボランチなのだ。大宮ばりの守備ブロックを作れとは言わないけど、個人的には明確な弱点がある状況はあまり好きじゃない。W杯本大会でも1ボランチなんてできないと思うんだけど、岡田監督はどう考えているんだろうね。

あとは、ピッチと審判について。ピッチ状況が悪くて、転ぶ選手が多かったけど、これは直前に同じ会場で中国と韓国の試合を行なったため。W杯予選ではそういう悪いピッチもあるとは思うが、できれば違う会場でやってほしかった。あと、この試合の審判は韓国の人だったけど、日本×北朝鮮で韓国の審判では、良くも悪くも中立性は期待できないのではないだろうか。ちゃんとした大会にしたいなら第三国から呼ぶことを考えてほしい。

ちなみに、この試合で得点を決めた前田だが、

前田右ひざ痛め緊急帰国、けが人続出 - サッカー日本代表ニュース : nikkansports.com

この記事によると、古傷の右ひざを痛めて戦線離脱したらしい。前田にはずっと期待しているんだけど、肝心なところでいつも怪我をする。万全なら今ごろ日本代表のエースになれる男なんだけどなあ。

しかし、この記事の中でもう一つ気になるところがある。

岡田監督は岩政の左足の痛みについて
「どこからか石が飛んできて足に当たったようだった
と岩政が話していた」と説明した

まさか、中国人が投げたんじゃないよな……。

というわけで、まさに罰ゲームの様相を呈してきた東アジア選手権。結果はともかく日本代表の選手たちには無事に帰国してほしいものである。

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