2007-08-03

アジアカップ総評 その3 選手について

最後に、選手個別のコメントと、オシムジャパンの今後の展望……はよく分からないので、アジアカップの結果を受けての日本のベストメンバーを考えてみた。

個別コメント

点数とかは付けないです。

川口……オーストラリア戦のPKは凄かったが、他の印象は薄い。ポゼッションが高く、中澤、阿部、啓太あたりのラインで敵の攻撃を止めることが多かったので、あまり出番がなかった。防げるシュートは防ぎ、防げないシュートは防げなかったという感じ。本音を言えば、もうちょっとスーパーなセーブが見たかった。余談だが、アジアカップではオシムに「失点は全部お前のせいだ」と言われていたのだとか。キャプテンは大変だ。

加地……守備は悪くないが、攻撃では不満が残る。この大会では、両SBは高い位置を保ち、攻撃面での貢献を期待されていたことを考えれば、もうちょっと頑張ってほしかったところだ。ご存知のとおり、日本の中盤は俊輔、遠藤、憲剛とパサーを並べているわけで、SBの攻撃の負担は大きくて大変なのだが、一緒になってパス回しに加わってしまった感じ。サイドなんだからもっと積極的にいってほしい。

中澤……復帰前、実はあまり期待していなかった。闘莉王、阿部、今野などテクニックがあり、パスも出せて、飛び出しもできるDFが活躍していた中で、中澤が入っても機能するのかと思っていたのだが、オシムが4バック固定にしたというのもあり、中澤の高さ、カバーリング、危険察知能力が存分に発揮された大会になった。やっぱり、今回のように2トップに2人のCBをぶつけるようなフォーメーションでは、彼のような専門性の高い選手が必要なんだなと実感した。

阿部……世間ではサウジアラビア3失点のせいで、戦犯にされかねない勢いで叩かれているが、僕は大会を通して見ると、よくやったんじゃないかなと思っている。オーストラリア戦でも相手に対して競り負けていなかったし、人に対する強さや、最終ラインからしっかり繋いでいくという意識など、及第点をあげたいのだが、大会終了後に中澤が「ポリバレントにも限界がある」「阿部は悩んでいた」とコメントしていたのを見ると、やっぱり最後のところで専門性が足りないところがあったのかなとも思う。4バックのセンターというのは、それくらい難しいということなんでしょう。

駒野……加地に比べると攻撃参加はうまくできていたが、やっぱり左サイドということで、クロスの精度があまりよくなかった。守備はいまいち。サウジ戦では相手の右サイドにやられてたし、加地もそうだが、中に絞ったときの守備も頼りない。何度も言っているけど、駒野を起用するなら右サイドで見たい。

啓太……今大会では中澤と並んで守備のキーマンとして十分な働きを見せた。DFと連繋して相手FWを挟みこんだり、カウンターをディレイさせたり、ボールをサイドに追いこんだりと、基本に忠実な守備ができていた。ドイツに彼がいれば、とつい思ってしまう。彼の代役を探すのも日本の課題だね。守備専のボランチというのは意外と良い選手がいない。年齢を考えなければ、明神あたりが適任だと思うが。阿部の守備力がもうちょっと上がれば良いのだが。

憲剛……前線への飛び出しや俊輔、遠藤との連繋は素晴らしかった。得意のスルーパスやサイドチェンジも効果的だった。日本の分厚い攻撃を支えていたのは憲剛だろう。しかし、得点やアシストという目に見える形での結果を残すことができなかった。また、前線への飛び出したあとのスペースを相手に使われてしまったことも多々あり、勝敗に直結するところでの評価は低くなってしまう。3人のパサーの中で順当に外すとしたら憲剛だろう。

俊輔……このチームで攻撃を牽引したのは間違いなく俊輔だった。日本が失点後、早期に追いつくことが多かったのは、俊輔の判断の良さが大きい。運動量も豊富で、飛び出しや守備にも貢献していた。しかし、遠藤や憲剛に比べるとつまらないミスでボールを失うこともあり、できればもっとFWに近い位置でプレーしてほしいというのも相変わらず。チームで一番ミドルの精度があるんだから、もっと積極的に打ってほしいというのもある。まあ、まだ覚醒までには至らなかったというところか。

遠藤……このチームは良くも悪くも遠藤のチームだった。遠藤という選手はある意味で俊輔や中田英寿より異能の人だ。彼のパスは誰よりも視野が広く、正確無比なため、チーム全体がそのペースに巻き込まれてしまうようなところがある。しかし、決勝トーナメントに入って疲労が一番出たのが遠藤ではないだろうか。普段の彼では考えられないようなミスも出た。直接的な失敗は少ないかもしれないが、責任の大きさから考えて裏戦犯と言ってもいい。オシムも思い切って遠藤外しをやるかもしれない。今後も代表に選出されるようなら、もっと中心選手としての自覚を持ってほしい。

巻……ベトナム戦でしか得点を挙げられなかったのは残念だが、高原の相棒として一定の戦術的な役割はこなした。しかし、足元でボールを持ったときのテクニック、判断が絶望的に駄目だった。とは言っても、巻ほどの運動量と高さとフィジカルの強さを持った選手って他にあまりいないんだよね。高松、平山あたりがもっと成長して巻のポジションを脅かしてほしいところ。

高原……大会を通じてアジアの中でもトップクラスの能力を披露し、得点王にもなった。しかし、体調不良と相手の厳しいマークにより、決勝トーナメントでは十分力を発揮しきれなかったのは残念。高原の相棒を探すのと、高原に頼らない得点方法を探すのがこれからの課題。

山岸……残念ながら先発した2試合ともあまり機能したとは言えない出来。前線にスペースがなかったので、持ち前のダイナミックな動きが発揮できなかったというのもあるし、逆サイドからのクロスもあまり良いものがなかった。とは言っても、代表のスタメンは厳しかったと言わざるを得ない。

羽生……途中交代選手として機能はしていたが、結果を残すことができなかった。タイプ的に北沢、森島の系統で、日本の伝統的なアジリティを持つ動きは、他の選手のお手本になるはず。もうちょっとテクニシャンで彼のような動きができる選手が出てくると良いのだが。個人的には家長に期待。

寿人……動きは悪くないのだが、戦術的に機能しなかったという印象。しかし、帰国直後の浦和戦でのゴールを見ると、どうしてそれをアジアカップでできない!と歯痒く思ってしまう。次戦以降では日本人得点王の意地を見せてほしい。

これなら勝てる?日本のベストメンバーとは
GK: 川口
DF: 駒野、中澤、闘莉王、中田
MF: 俊輔、啓太、遠藤、三都主
FW: 播戸、高原

真剣に選んでみた。かなり保守的なメンバーになってしまった。

川口は経験とDFとの連繋を重視して。別に不動のGKと言えるほど、実力が特出しているとは思っていない。楢崎や川島にも十分チャンスはあるでしょう。

駒野はやはり右サイドで。中澤はW杯まで持つかどうか分からないので、岩政あたりを早めに試したい。闘莉王は、このチームの柱になる選手。アジアカップでも彼の不在が一番影響した。左SBには中田を起用したい。阿部でもよいが、阿部より身長があるし、CB、SBとしての経験も豊か。駒野や加地よりも中に絞ったときの守備でも期待できる。ちゃんと左ききなのも重要。

遠藤はボランチで。遠藤の2列目を否定しているわけではないのだが、相棒が俊輔なので一つ下がってもらうしかない。三都主の位置は、松井、山瀬なども考えられるが、やはりサイドでは三都主に一日の長があると思う。それに3バックに移行したときにWBの動きもできるのがよい。

播戸は運動量とガンバで相棒の外国人FWの活かし方を知っているということで、高原の相棒によいのではないかと思った。でも本音を言えば、前田あたりが台頭してくると嬉しい。巻のところでも名前を挙げたが、高松、平山にも期待している。

交代選手としては、FWやトップ下の選手もよいのだが、憲剛や長谷部あたりのゲームの流れを変えられる選手も用意したい。アジアカップではほとんどなかったが、強豪相手の場合は、ゲームの流れが悪く相手にボールを持たれてしまうこともあるはず。そんなときに状況を変えることができる選手がほしい。あと何度も言うが、家長。これはさっさと使えとしか言いようがない。巻は明確な特徴があるだけに、途中交代でも機能しやすいと思う。寿人みたいなインザーギタイプは結果が出るか出ないかのようなとことがあるので使い方が難しい。二年連続日本人得点王で、今年もPKなしでちゃんと日本人得点王の位置につけているのだから、使いこなせればこれ以上頼もしいことはないのだが。

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