2007-10-21

Jリーグ 第29節 磐田×鹿島

結果は、1-3で鹿島の勝ちだった。

磐田と鹿島の試合と言えば、一昔前なら所謂ナショナルダービーだったが、今はその座は浦和とガンバに明け渡してしまっている。磐田は監督が交代し、チームの立て直しの最中。鹿島は所謂「10冠」を目指していたが、ナビスコでガンバに負け、リーグ戦でも浦和に勝ち点で10差をつけられていて厳しい状況。なかなかモチベーションを保つのが難しい状況かもしれない。

試合は、結果から言えば、今のチームの地力の差がそのまま出たものになった。序盤は、ピッチが悪いのと、中盤で激しい当たり合いになったので、ボールが全然落ち着かない状況だったが、次第に運動量で上回るホームの磐田がペースを握るようになる。しかし、鹿島が磐田のキーマンの日本代表の前田を徹底マークしているので、磐田はチャンスを作れない。西も成岡もよく動いているんだけど、プレッシャーを受けるとテンパるんだよね。前田は別格の選手という感じなんだけど、それに続く選手が磐田にはいない。これは試合を通してそうで、結局数少ない磐田のチャンスは全て前田が絡んでいた。

それに対して鹿島はタレントが豊富だよね。中盤には小笠原、野沢がいて、FWにはマルキーニョスがいる。この辺はファンタジスタと言えるレベルで、一人で試合を決定する力がある。さらに本山や田代がいるわけで、磐田との前線の選手の質の差は明らか。試合運びもうまかった。前半磐田の攻撃を凌ぐと、磐田の運動量が落ちた後半は鹿島のペースで、2得点はセットプレーからだったが、ここでは小笠原、野沢の正確なキックが光った。表面上のポゼッションよりも実力差が出た試合だと思った。伊達にリーグ3位ではないということだろう。

29節全体では、浦和もガンバも鹿島も勝ち、上位陣は変わらず。浦和は6連勝で絶好調の千葉相手にグダグダながらもなんとか個人の力で勝ち、ガンバは出場停止の多かった甲府相手を虐殺したらしい。なんだかんだ言って、浦和は強いなあ。

下位では、とうとう横浜FCの降格が決定した。5節を残しての降格はもちろんJリーグが2部制になってから最速記録だ。今回の横浜FCの無惨な戦績で明らかになったのは、J2を戦う戦術とJ1を戦う戦術は違うということだ。横浜FCはJ2を優勝して昇格している。しかし、同時昇格の2位神戸や3位柏は今のところ降格とは無縁の状況だ。この差は何かと言えば、J1に昇格した後のことを事前に想像できていたかどうかだ。横浜FCはJ2を戦うことだけに最適化した戦いでいっぱいいっぱいだった。他のチーム、特に柏の石崎監督はJ1に上がった後のことも考えていた。今のこの2チームの差はそういうことだ。

もちろん横浜FCの高木監督を責めることはできない。彼が就任したとき、横浜FCがJ1に昇格するなんて誰も想像していなかっただろう。彼は2節で急遽就任したのにもかかわらず、チームをまとめあげてJ1に昇格させたのだ。それだけでも凄いことだ。

そして、それを教訓に思うことは、J1でもJ1に過度に最適化されたチームはないかということだ。どれとは言わないが静岡県にある某チームなどだ。こういうチームが優勝してもACLでは通用しないだろうし、Jリーグレベルに合わせた試合なんか退屈なだけだ。強豪チームには強いだけではなくリーグを代表する強豪チームとして責任があるはずだと思う。J1で優勝を目指すのもいいが、そういうことも意識してほしいものだ。

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