これは前作よりもさらに面白いね。前作が同じ登場人物の短編集といった感じだったのに対して、今回はより洗練された連作短編になっている。以下、激しくネタバレ。
まず、小鳩 vs 小佐内でくるとは思わなかった。途中の章で煽りまくって、最後、小鳩君が小佐内さんを問い詰めるシーンはいい緊張感があったね。全4作予定の第2作目じゃなかったっけ? 出し惜しみしない人なんだねー。
そして、今回もちゃんと本格ミステリーとして作られている。描写はとてもフラットで、一読して気になるところはちゃんと伏線として使われるようになっている。というか、この作者は自分の小説が読者にどう読まれるかに非常に気を使っていると思う。細かい矛盾点まで、きっちりと解消するか、伏線にするかのどちらかの処理をしている。ちょっと貴重面すぎるんじゃないかと思うくらい。本格ミステリーの方面はあまり詳しくないんだけど、他の本格の作品も皆こんな感じなんだろうか。
と書くと、非常に冷たいかっちりした小説だと思われるかもしれないが、ある面ではそうなのだが、今回は細かい人間の機微も書かれている。村上春樹のように表面ではドライに描写して感情を浮き上がらせる手法。ハードボイルドというのかな。最後喫茶店に小鳩君が一人残される場面はなかなかの哀愁が漂っている。次作が気になる引きかただね。小鳩君と小佐内さんの和解はあるのか?(あるだろうけど) どう和解するのか。
この作品を読んで、この作者が信用できることは分かったので、しばらく作者買いすることにした。
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