2007-04-06

シャイニング・フォース イクサ 総括 (その3)

間がかなり空いてしまったけど、実際にプレーした感想を。厳しいことも書くが、前回までに書いた文脈も考慮してほしい。

まず、散々言われていることだが、前作経験者がプレーするとびっくりするのが、マップの使い回し。フィールドマップの大半がスネオから使い回されている。発売前に出ていた情報から、システムはスネオの使い回しだということは分かっていたんだけど、マップがここまで使い回されるというのは、予想外だった。

もう一つガッカリしたのは、イベントの描写が少ないこと。pako絵と火野シナリオと3Dムービーがウリじゃなかったのか。まず、物語冒頭が大幅に省略。これは予約特典の小説に説明されているというのだが、どうも言い訳くさい。シナリオも、明らかにフリに対してイベントが不足している。例えば、皇帝の妹のカティーナ。主要人物だかと思いきや、最後までほとんど出てこない。サブキャラも出身地のことがよく語られるのに(メーベルのエルフの里やアミタリリの母親など)、ゲームではそんなの全然出てこない。エンディングなんか、スタッフロールの背景の絵だけだ。ムービーも、思ったより全然少なくて、多分、発売前のトレイラーに全部収録されていると思う。ラスボスも含めて。

しかし、ゲーム性の部分は、さすがネバーという感じで、期待通りにしっかり作ってある。スペシャル攻撃は、予想より良くできていて、操作性の新しい軸になっていた。ちゃんと出すためには、連打ではなくてある程度の目押しが必要なのだが、そのせいで、だらだらとしたスネオとは違って、しっかり攻撃している感じの操作感になっている。

それと、スネオではレギオン・ハイヴ(イクサのエンシェント・アリーナ)が一場面に集中していたせいで、奥義や武器が終盤にまとめて解禁ということになり、使わない奥義や武器が多いという問題があったんだけど、今回は道中にうまく配置されていて、色々な奥義を使うようになった。前作の難易度が高いという感想が多かったせいか、イクサでは、何度でも潜れる訓練所や、上級者向けの破邪の道など色々なプレーができるようになった。まあ、進め方に多様性を許したせいで、スネオでは繊細だったバランスが崩れているところはあるのだが。全体的には、あまり変わっていないんだけど、要所を改善できている感じだった。

とは言え、結局のところ、発売前に期待したゲーム性以外のスネオからの上積み部分は、結果として見掛け倒しになってしまったわけだ。けど、これは、今回新しく入った人が悪いわけではないと思う。特に問題点としてシナリオが槍玉に挙げられるだろうけど、確かに大きな矛盾や欠点はあるものの、キャラクターの作り方や本陣での会話を見るに、スネオよりはよくなっていると思う。今回の問題は、そういう個人に帰することではないだろう。単純に金と時間の開発リソースの問題だ。

では、なぜ、セガとネバーは(不本意だったとは思うが)こんな使い回しや張りぼて紛いのことをやらなければならなかったのか。理由は、二つあると思う。一つは、発売時期の問題だ。スネオの発売が2005年3月で、イクサの発売が2007 年1月だから、1年10ヶ月での発売ということになる。

開発陣に質問状:シャイニング・フォース イクサ 「育てるほどに強くなる」 (まんたんウェブ)

この情報によれば、2005年の5月に開発がスタートしたそうだから、1年8ヶ月の開発期間になる。スネオの発売が、ロードス島の発売の5年後だったことを考えると(全て開発してたわけではないと思うが)、かなり短い開発期間だ。DSのブレイクとPS3の発売で、PS2はもう旧世代のゲーム機になりつつある。あと一年、発売が遅くなっていたら、PS2のゲームなんて市場から全く無視されていた可能性もある。だから、かなり急いで開発する必要があった。素人の推測だが、マップの使い回しなんかは、かなりの開発期間短縮になったんじゃないかな。しかし、ムービーなどの外注部分も節約されたことを考えると、もう一つの問題、開発予算の問題の方が要因としては大きいかもしれない。

前にも書いたが、スネオは半年で10万本も売れなかった。イクサが2006年、もしくは、2007年に発売されるということを考えれば、全然売れなかったスネオの続編が突然20万本、30万本も売れるということは、さすがのセガでも予想しなかっただろう。つまり、おそらくだが、イクサは開発スタートの時点から、いかに10万本を売り、10万本で利益を出すかを考えて作られたゲームだったのだろう。ひょっとしたら、スネオの赤字を補填することも考えられたのかもしれない。

しかし、10万本分の予算で、ムービーもあり、ボイスあり、隠しダンジョンありなんていう、こってりしたPS2型のRPGを作るというのは、破綻しているのだ。イクサが、こんなに中途半端な出来になってしまったのは、この二つの問題が原因だと推察される。

ここで普通のブログなら、PS2型RPGの破綻を教訓に、DSでの任天堂のやり方を賞賛するのが、正しいブログのあり方だと思うのだが、こうダラダラとイクサを取り上げてきたのは、そういうありきたりのことが言いたいからではない。イクサ発売前のぼくの思惑としては、イクサはこんなに素晴らしいゲームなのに、PS2型RPG文化の衰退により、こんなゲームはもう遊べなくなるんだよと話すつもりが、イクサ自身が破綻を体現してしまうという、やや物悲しい結末になってしまった。でも、やっぱり、このゲームは確実に面白いと言える要素があると思う。だから、完全新作マップで、イベントもちゃんと描かれて、できれば通常のグラフィックが今回の3Dムービー並になったスネオ、イクサの続編というものを遊んでみたいのだが、そんなのは、もう諦めるしかないだろう(セガがアホだから可能性がないとも言えないが)。

で、この話は、もうちょっと続くよ。

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