2007-07-14

アジアカップ グループリーグ 日本×UAE

結果は、3-1で日本の勝ちだった。得点者は、高原が2点、俊輔が1点(PK)。

前の試合が1-1の引き分けということで、ここで負けてしまったりすると1位通過どころか、グループリーグ突破も厳しくなるという非常に重要な試合になった。正直、試合を見るこちら側も緊張してしまった。グループリーグ敗退するとオシム体制の崩壊もありうる。協会は、U-22や五輪世代も含む各世代を通じてオシムサッカーを浸透させようとしていて、オシムがいなくなるということは、それらのプランが全て水泡に帰すということだ。日本サッカー界はしばらく大混乱に陥いるだろう。

もちろん、グループリーグ敗退してもオシム路線を継続すべきということではない。こういうことはけじめだし、オシム監督もよくわかっているから、今の23人のような実戦向きな人選になるのだろう。しかし、なんとか上位進出して、今の体制を維持してほしいとは思う。

試合の出だしはUAEが攻勢に出る。全体的に高い位置をキープし、ボールをうまく回し、中盤からの飛び出しも多い。日本もなんとかそれを堪えて、同じように素早いパス回しと豊富な運動量で応戦する。カタール戦の序盤と比べると、両チーム共にコレクティブで攻撃的なサッカーを行い、なかなかエキサイティングなゲームになる予感がした。

先制点は日本。遠藤がショートコーナーで俊輔にボールを渡す。俊輔はトリブルで中に切れ込み、タッチラインぎりぎりでスライディングしながらクロスを上げる。これを高原がきっかり合わせた。俊輔は、この後の切り返しからシュートあたりのプレーを見ても、完全にアタッキングサードの人間になったなあと思った。高原もそうだけど、彼ら2人が特別な選手なのは最後の最後のところでのクロスやシュートの精度が勝敗を分けるということがよく分かっているところ。ほんの30cmくらいの違いでゴールが決まるかどうかが分かれるのがサッカーという競技なのだ。

それに続けて、加地のクロスから遠藤がスルーをして、高原がワントラップから素早く足を振り抜いて追加点を挙げた。これは高原が凄かった。トラップからシュートまでが速すぎて、GKが全く反応できていなかった。それにしても、オシムジャパンに合流後の高原は凄い。得点率も高いし、前線での体を張ったポストプレーでの貢献も大きい。この日もゴール前のチャンスには悉く顔を出していた。試合後、オシム監督は高原について「彼がドイツでプレーしているのは、それが理由だ。つまり高原がドイツでプレーしているのは偶然ではない、ということだ」と絶賛していた。

この2点で試合は一気に日本ペースになった。そしてさらに遠藤がPKを獲得し、俊輔が決めて三点差。この時点でほぼ日本の勝ちは決まった。余談だが、PKは遠藤が蹴るべきだろう。俊輔は外したことが何度かあるはずだし、遠藤はガンバのPKキッカーで、ナビスコの決勝で千葉の立石に止められたときに「生まれて初めてPKを止められた」ともらしたほど、凄まじいキッカーなのだ。より決める確率が高いのは遠藤だと思われる。

後半に入ると、UAEは試合を諦めて自暴自棄になったのか、ラフプレーが多くなる。そして、啓太が非常に悪質なタックルを受けて、UAEの選手は一発退場。日本は数的にも優位に立った。

しかし、ここから試合はややこしくなる。まず、カウンターからDFの間にスルーパスを通されて1点返されてしまう。この失点シーンでは、直前の憲剛の対応のミスよりも、中澤と阿部の連繋の悪さが気になった。本当は中澤は相手の選手をマークし、阿部がチャレンジしなければならなかった。しかし、実際には逆にやってしまって、相手をフリーにしてしまった。この試合では、ジーコジャパンのように常に中澤がチャレンジして阿部(ジージャパでは宮本)がカバーするというように役割が固定化してしまっていた。カタール戦では柔軟に二人の役割を変えることができていたので、そこは残念。カタール戦の失敗で阿部が前にいけなくなってしまったのかもしれない。まあ、しかしマークを外す相手の動きも良かった。まあ、これもカタール戦と同じで、そう何度もあるような形ではないと思いたい。

次に、高原が自分から交代を申し出て、続いて俊輔が水野と交代、啓太が相手選手が退場になったプレーでの怪我が原因で交代、と中心選手が相次いでいなくなると、日本は全く攻撃の形が作れなくなった。この辺は、今の日本の攻撃が一部選手(主に高原)を頼っているということなのだろう。高原の次に高い決定力を持つと思われる寿人も試してほしいところだ。

さらに、試合開始が20:35なのにもかかわらず、この日の気温が33度、湿度も80%越え、ピッチは完全に無風らしく、このような非常に厳しい状況の中で、日本の選手も終盤になると疲労困憊し、普通に試合をやる状態ではなくなっていた。相手も同じように疲労していたのと、遠藤を中心にうまく試合をコントロールしていたので助かったが、スタミナが日本より上まわるチームが相手だった場合を考えると、少し不安を残した。

このように後半はなんとなく悪い空気を残した日本だが、3-1と快勝したことでBグループ首位に立ち、次のベトナム戦で引き分けでもカタールの結果に依らずグループ突破が決まるというかなり有利な状況になった。正直、前回のアジアカップのようなスペクタクルはいらないから、このまま最後まで危なげなく勝ち進んでほしいところ。

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