前回は、イクサ発売前までの大きな流れを考察したが、今回は、もうちょっと視点を絞って、前作スネオとの関係を考えてみる。
シャイニング・フォース ネオは素晴らしいゲームだったが、商業的には失敗してしまった。それは、なぜか。と、ここで簡単に説明できるなら、セガの人も最初からヘマしないと思うが、スネオをプレーして感じた問題点を一言で言わせてもらえば、キャラクターを軽視しすぎている、ということになる。
まずは、なんと言っても、キャラクターデザイン。西山優里子氏を責めるわけではないし、マガジン絡みで何かビジネスの話があったのかもしれないが、キャラデザを専門としない、西山女史の起用というのは、やっぱり難しかったのではないだろうか。もちろん、西山女史のキャラクターを支持する人もいるのだが、ざっと見る限り、ちょっと古くさい感じが逆に好み、とか、日本一ソフトウェアやアイディアファクトリーみたいなオタ臭いのよりはマシ、という消極的な支持が目立つ。
今や、ゲームにしろ、アニメにしろ、ライトノベルにしろ、キャラクターデザインは、最も人気を左右する要素になっている。もちろん、売れるために、単純にオタクっぽい絵にすればいいというわけではない。ただ、今の供給過剰の飽和状態から一歩抜け出すためには、キャラデザの訴求力は重要なのだ。スネオは、実績のないチャレンジャーなんだから、キャラデザは、最も注意深く考えなければならない要素だったのは間違いない。
次に、ストーリー。色々、矛盾点や構造的な問題があるのは確かだが、重要なのはそこではない。まず、敵が実質ヴァンドルフ一人しかないというのが問題だ。主人公マックスと仲間たちは、世界各地を回るのだが、その先々にヴァンドルフが現われる。そして、主人公の邪魔をする。大げさに言えば、ひたすら、それだけのストーリーだ。なんと、勿体無い。RPGで、敵キャラは、最も人気の出る余地のあるところだ。主人公と違って、続編に気軽に出演させたりもすることができる、とてもおいしいポジションなのだ。それが一人……。やる気がないのか、と言いたくなる。
仲間も正直微妙だ。世界観はシャイニング・フォース・シリーズということで、亜人が多いのだが、ケンタウロスのおっさん、犬人の人妻、キザだけど弱い狼男、ひとりやもめのタイタン族とか、微妙な面々。かと言って、ネタにもならないんだよなあ。敵キャラと同じで、仲間もおいしいポジションなんだけど、もう、ちょっと盛り上がる要素が欲しいよね。
ついでだが、声優の起用もよくない。ヴァンドルフに保志総一朗、メリルに堀江由衣は、まあ良いとして、他の声優は、どれとは言わないが、微妙に外し気味だ。アニメとゲームでは、声優起用の考え方が違うのかもしれないが、ここでも、萌えか、ネタかという攻めの姿勢が足りない(だからと言って、何でも穴子を使えばいいというものでもないが)。
要するに、スネオというゲームは、キャラクターについては、文句を言われなければよいという守りの姿勢なんだよね。数千本しか売れなかったゲームの続編に、何を守るものがあるのかと言いたくはなる。
という具合に、スネオの問題点をあげつらってきたが、で、イクサである。スネオの売り上げ惨敗を受けて、開発されたイクサは、スネオ最大の弱点である、キャラクターの要素を、はっきり補強してきた。
まず、キャラデザは、ラノベ絵師のpako氏を起用。絵の話は、どうしても主観になってしまうが、西山女史に比べると、大分今風になっていると思う。シナリオには、「LUNAR」や「グランディア」を手掛けたという火野峻志氏。これは結果的に良かったのか悪かったのか、意見が分かれるところだと思うが、戦局が、人間+獣人 vs 魔族 vs 主人公たちという三つ巴の構図になっており、上に挙げたような敵の問題はクリアされている。そして、3Dムービーには、3D萌え界に革命を起こした(?)らぶデスのMA@YA氏を起用。これは凄いね。3Dはリアルだけではないっつーことだね。360もアイマスで元気のようだし、PS3も、この路線も展開した方がいいんじゃないかな。周りからは揶揄されるだろうけど。
声優の起用の仕方もよくなっている。主役に朴ロ美、ヒロインに桑島法子と無難、かつ、人気のあるところを押さえて、田村ゆかりと水樹奈々の「なのは」コンビをセットで起用。そして、敵の皇帝役にネタ要員の堀川りょうを起用。このセンスはいいね。ラインハルト的にかっこいい役かと思いきや、ベジータ的なネタ役。フリとオチが絶妙だ。まあ、キャスティングした人はネタ要員だとは思っていないのかもしれないが。
と、オタク話ばかりもなんなので、ゲーム性にも言及しておくと、スネオのゲーム性の批判で一番多いのが、戦闘がボタン連打で単調だという意見。個人的にも途中でボタン押すのが面倒臭くなって、連射パッドでプレーした。まあ、これは善し悪しで、武器の振るスピードと連撃数がステータスになっているので、アクションがある程度単調な方が武器の差が出やすいというのはある。この対策として、イクサではチャージ攻撃とスペシャル攻撃が追加されている。これらは武器によって変わるので、より武器の個性を出すことにも成功している。
あと、忘れてはいけないのが、着せ替えの要素。スネオでは、武器と盾しかグラフィックが変わらなかったが、イクサでは、鎧と兜でもグラフィックが変わるようになった。イクサの主人公が男女二人なのも着せ替え機能を活かすためだと思われる。
という感じで、イクサはスネオの弱点を補強し、より隙のない作品に仕上がるだろうと発売前は予想したのだが……。その3に続く。
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